腸閉塞・腸捻転とは(症状・原因・治療)
背中の痛みを引き起こす可能性のある病気の一つに「腸閉塞(ちょうへいそく)」や「腸捻転(ちょうねんてん)」があります。
ここでは背中の痛みとの関係を交えながら解説します。
1.腸捻転や腸閉塞が疑われる症状
背中の痛みのほかに、以下のような特徴や症状が見られる場合、腸捻転、腸閉塞が発症している可能性があります。
- 腹痛がある
へそまわりから腹部全体にかけて激しく傷んだり、楽になったりを繰り返す - オナラや便が出ず(出にくく)、お腹がふくれる
- 吐き気、嘔吐
- 便秘
腸閉塞・腸捻転が悪化すると、便の匂いのするものを吐いて意識が混濁します。腸の組織が壊死し、腹膜炎を併発して死亡する例も稀(まれ)にあります。
2.腸閉塞・腸捻転とは 〜 原因と特徴
腸閉塞とは、何らかの原因で腸がせまくなったり、詰まったりして通過障害を起こし、腸の内容物が便などとして排出されず停滞してしまう病気です。「イレウス」ともいいます。
腸閉塞には大きく2つのタイプがあり、腸が物理的にふさがれる「機械的イレウス」と、腸が食物を消化するための動きが妨げられる結果として生じる「機能的イレウス」があります。
機械的イレウスの原因はたくさんありますが、最も多いのが「腸の癒着」、つまり腸の外壁が他の腸などとくっついてしまうことです。過去に受けた手術が原因で癒着するものが6〜7割を占めています。ほかの原因として、「結石・糞石が腸をふさぐ」、「周囲の腫瘍による圧迫」、「がん・結核・梅毒などの病気による腸の組織の変化」、「腸のねじれ(腸捻転)」、「ヘルニア」などがあります。
機能的イレウスは、腸が麻痺したりけいれんしたりして、正しく働かなくなるために起こります。
腸捻転とは、何らかの原因で腸がねじれてしまい、腸の通過障害を起こす病気です。
一般的には、先に解説した「腸閉塞」の一形態と認識されています。腸のねじれが発生する原因には、生まれつきの体質(先天性)や、腸の癒着などがあります。原因についても「腸閉塞」と重なる部分が多いです。
<腸閉塞の種類>(クリックで拡大します)
3.診断・治療・予防
まず問診によって過去の手術の有無を確認し、受けたことがあれば詳しい内容や時期を確認します。その内容と本人の症状によってある程度予測がつくこともあります。
そのほか、血液検査、X線撮影、CT検査、超音波検査などが行われます。
【関連項目】
治療法は症状の内容や重さによって違います。
症状が単純で軽度のものなら、絶食して点滴で栄養補給をしつつ、鼻から細いチューブを腸に通して内容物を吸引する内科的治療を行います。漢方薬の「大建中湯」が効果的な場合もあります。
それらで対処できない重症の場合、例えば腹膜炎などの危険があったり、腸捻転やヘルニアが原因となっている場合などは、早急に手術を行う必要があります。
もともと癒着の原因は過去の手術にあるケースが多いため、癒着による腸閉塞を手術で治療した場合、体質などの要因も重なって再発を繰り返す可能性があります。症状が良くなった場合でもしばらくは体調を良く観察し、腸閉塞の症状が再び現れたらすぐに病院で診察を受けましょう。
予防法としては、何らかの手術を受けた後は、必要以上に安静状態を続けないこと、過労・睡眠不足・暴飲暴食を控えることです。これらが腸閉塞を引き起こす場合があります。日頃から摂生し、規則正しい生活を送ることです。それでも体質的に避けられない場合もあります。
4.その他
【受診科】
- 消化器内科、消化器外科科
【腸閉塞・腸捻転の原因となる病気・障害】
【腸閉塞・腸捻転が原因で起こる病気(合併症)】
- 腹膜炎、敗血症