寝違え・筋違い・むち打ち症による痛み
背中の痛みを引き起こす可能性のある障害の一つに、「寝違え(ねちがえ)」、「筋違い(すじちがい)」、「むち打ち症」があります。
ここでは背中の痛みとの関連について解説します。
1.「寝違え・筋違い」について
背中の痛みの他に、以下のような症状が見られる場合は、寝違え(筋違い)がおきている可能性があります。
- 首を動かすと筋肉痛のような痛みが走る
- 首が痛むだけでなく、特定の位置に固定されて、それ以上動かすことができない
寝違えは正式名称を「突発頚項通(とっぱつけいこうつう)」といいます。
睡眠中に無理な姿勢を取ったり、無理な首の動かし方をすることで首の筋肉や周辺の関節に負担がかかり、「筋違え(※)」を起こして筋肉痛のような痛みを生じるものです。慢性的な肩こりやリウマチが原因の場合もあります。
朝起きてみると首が回らなかったり、一定の位置で固定されているケースが多いですが、ほかにも首を急にひねるといった動作で、突然首が痛くなり動かせなくなることがあります。
筋肉や、筋肉と骨をつなぐ腱(けん)が、外部からの圧力や衝撃、または無理に伸ばされることによって炎症をおこし、痛みや腫れを生じたもの。ひどい場合は組織が断裂する場合もある。正式名称は「筋挫傷(きんざしょう)」。
軽度のものなら無理に動かさずに数日安静にしていれば自然に治ります。
寝違えとは、いわば首の筋肉や筋の炎症・捻挫ですので、炎症を抑えるためシップを貼って冷やしたり、テーピングや包帯・タオルなどで固定すると治りが早くなります。
少し動かしただけでも激痛が走るような重症の場合は、自分で無理に処置しようとせず、病院の整形外科で診察を受けてください。整骨院(接骨院)は痛みが慢性的でマッサージなどを受ける場合に利用しましょう。
- 首を前後に曲げる
あごが胸につくまで前に曲げ、天井が見えるまで後ろにそらせる。
10回繰り返します。 - 首を左右に曲げる
首をゆっくりと、できるだけ大きく横に倒す。10回繰り返します。 - 首を左右に向ける
あごが肩に近づくまでしっかり横を向く。10回繰り返します。
※いずれの場合も痛くてできないときは、痛みを感じない範囲で、できる方向だけ行なっても効果があります。
2.「むち打ち症」について
背中の痛みの他に、以下のような症状が見られる場合は「むち打ち症」が起きている可能性があります。
- 首筋・背中・肩のこりや痛み
- 首が重く感じる
- 腕のしびれや胸の圧迫感
- 頭痛、めまい、耳鳴り、耳痛、鼻づまり、目の痛み、まぶしさ、吐き気、食欲不振
むち打ち症に伴う症状は実に様々ですが、多くの場合は首の捻挫(ねんざ)だけであって、それほどの重症ではありません。
むち打ち症とは、正式な医学用語では「頚椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頸部症候群」と呼ばれるもので、言葉どおり頚椎の捻挫です。
※頚椎とは背骨の一番上の首の部分のこと。
むち打ち症の原因で一番多いのは「自動車事故」です。
後ろから衝突された際の強い衝撃で、首が前にガクンと揺らされることで、首の筋肉や筋が損傷します。他にもスポーツ事故や仕事中の事故などで多く見られます。
むち打ち症は、事故にあった当日は何の症状も見られず、翌日〜数日後に症状が現れることが多いです。首に衝撃を受ける事故に遭った後、前述したような首の痛みを主とする様々な症状があらわれた場合は、整形外科や脳外科の専門医に診察を受けましょう。
大きな事故に遭遇した場合は、症状の有無にかかわらず、念のためなるべく早く診察を受けるのが望ましいです。
診断は主に問診とX線(レントゲン)撮影で行われます。
大抵の場合、特に深刻な異常は見られず、他の捻挫と同様、ギプスによる首の固定、シップなどで患部を冷やす、運動を避けて数週間安静にするといった治療法がとられます。
脊椎や筋肉に重大な損傷が見られる場合は手術を行う場合もあります。
一般的に、むち打ちは完治まで長い時間がかかることが多く、病院や整骨院に通院治療が必要となります。