背中の筋肉疲労・筋肉痛で痛むケース

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背中の痛みの対策と予防 解剖図イラスト:背中の骨・筋肉背中の痛みの体験談

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背筋の疲労・筋肉痛による痛み

背中の痛みの主な原因の一つに、"背中の筋肉疲労・筋肉痛"があります。

ここでは具体的な症状、筋肉を疲労させるて痛みを引き起こす原因、治療法、背中に負荷をかけないための予防法などを紹介します。

筋肉疲労による痛みにはいくつかの段階があります。
症状の軽いものから順に解説していきます

<目 次>

  1. 「軽度」:軽い疲労による一時的な背中痛
  2. 「中度」:慢性的な背中痛・ギックリ背中
  3. 「重度」:数年以上続いている慢性的な背中痛
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1.「軽度」:一時的な疲労による背中のコリ・筋肉痛

◆症状

背中の筋肉痛・コリ

背中の筋肉への負荷や緊張が続くと、体の他の部位と同じく、筋肉にコリが生じたり、筋肉痛を起こします。
それほど激しい痛みはなく、以下の様な症状が見られます。


  • 筋肉痛のような鈍い痛み、うずく痛みを感じる
  • 背中の張り、コリ、だるさ、重さなどの違和感を感じる
  • 背中の筋肉が硬くなっている

初めは背中や腰まわりに軽い痛みを感じたり、背中がなんとなく疲れる、だるい、重苦しい感じがする、いつもよりこっている、などの不快感を感じます。
放置していると徐々に痛みが強まっていく傾向があり、突然強い痛みに襲われることもあります。

病院で診察を受け、X線撮影(レントゲン)でも背骨や神経に異常がなく、血液検査による内臓疾患も見当たらなければ、多くの場合「筋筋膜痛症候群(きんきんまくつうしょうこうぐん」と診断されます。
難しい病名ですが、筋肉疲労による痛みの総称です。一般的な肩こり、腰痛などもこれに分類されます。

◆主な原因

背中の筋肉に負担をかける主な要因を紹介します。

過度の運動・重い荷物

1.「過度の運動」や「運動不足」
背中の筋肉「背筋」を使う運動をたくさん行うと、筋肉疲労による痛みを引き起こします。いわゆる筋肉痛です。

背筋は普段の生活でも常に使われていますが、物を引っ張ったり、持ち上げたり、前かがみの姿勢をする時に特に負荷がかかります。
若い頃から部活動やスポーツをあまりしていなかったり、運動嫌いの人、運動不足の人ほど背筋が弱く、少しの運動で痛みが起こりやすくなります。
2.肩・背中・腰回りの筋力不足
背中の筋肉が弱い人は、日常生活において姿勢を維持するだけで筋肉が疲労し、背中や腰の痛みを起こします。
また、背骨は首から腰にかけて伸びており、首・背中・腰の筋肉で背骨をまっすぐにして姿勢を維持しています。首や腰の筋力が弱いと、その分を背中の筋肉でカバーしなければならず背中の筋肉が傷みやすくなります。

筋力をつけることは、単に大きな負荷に耐えられるだけでなく、筋肉の収縮作用により血行が良くなる効果も期待できるため、背中の痛みの防止に役立ちます。
3.「不適切な姿勢」と「同じ姿勢の継続」
パソコンのデスクワーク
背中を丸めた前かがみの姿勢や中腰の姿勢は、背中と腰への負荷が特に大きく、筋肉が大変疲労します。腰が弱くなることで更に背中の負担が増す悪循環にも陥りやすくなります。

また、例え姿勢が良くても、立ちっぱなしや座りっぱなしなど、同じ姿勢を長時間続けると、筋肉が長時間緊張した状態になり、更に皮膚と筋肉が圧迫されて血行も悪くなるため、肩・腰・背中に疲労がたまります。
特にパソコンを使った仕事は、視神経と筋肉の緊張が長時間続き、ストレスも大きいため要注意です。
4.腰痛・肩こり
腰痛・肩こり
肩こりや腰痛になると、間接的に背中の痛みを発症しやすくなります。

肩こりは背中痛の原因として非常に多くみられるものです。
首から背中上部にかけて痛み、悪化すると背中や腕の痛み・しびれ、頭痛や吐き気などの症状が出ることもあります。

腰痛持ちの人は、普段の生活で無意識に腰をかばった動作をすることが多く、腰の負担を減らしつつ姿勢を維持するために背中の筋肉が酷使されます。その結果、背中の痛みを生じやすくなります。
5.背中の冷え・更年期障害
背中が冷えると、血行(血液の流れ)が悪くなり、筋肉のコリやこわばりの原因になります。
エアコンの冷風や冷え性などによる以外にも、更年期障害やストレスによるホルモンの乱れ・減少によっても起こります。(参考:背中痛の危険因子「冷え・圧迫」

こうした危険因子については、別項で更に詳しく解説しています。

◆治療・対策

軽度の痛みや背中のコリ程度なら、一般的な筋肉痛や肩こりに対する対処法と同じです。

日常生活いおいて背中に負担となるような姿勢は動作は極力避けつつ、シップを貼って痛みがひくまで安静にしたり、マッサージを受けるなどの対策で治療できます。

また、背中痛が慢性的なものにならないよう、予防も含めて自分の生活習慣を見直しましょう。
軽めの運動やストレッチを習慣づけて運動不足解消したり、背筋を鍛えるトレーニングを行ったり、普段の姿勢に気をつけ、1時間に一度は姿勢を変えたり休息を取るなど、筋肉の緊張をほぐす対策が有効です。

ストレッチで背中痛を解消

運動やトレーニングをする場合は、最初から一生懸命やりすぎると、かえって筋肉痛になってしまいます。症状が良くなってから、小さな負荷で少しずつ継続して行うことが大事です。

腰痛や肩こり、姿勢の悪さ、ストレスなどが原因となっている場合は、こうした要因を取り除くことが先決です。根本的な原因が解消されない限り、薬やマッサージで一時的に症状がよくなっても、すぐに痛みが再発する可能性が高いです。

自分の体の状態や普段の生活を振り返ってみて、何が背中によくないのかしっかりと把握した上で改善を図りましょう。

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2.「中度」:慢性的な背中痛、背筋のつり

◆症状

背中の軽い痛みやコリであっても、そのまま放置したり、根本的な原因が解消されずに再発を繰り返したりした場合、症状が数ヶ月以上、長くなると数年にわたって続き、慢性化します。

長期化するほど背中の筋肉のコリは硬くなり、その範囲も広がってゆきます。
痛みはさほど強くないケースが多いですが、こった部分を強く押すと強い痛みを感じることがあります。背中がより硬く、感覚も鈍くなるため、マッサージでも強く押さないと効きが悪くなります。

激痛をともなう「ぎっくり背中」

ギックリ背中の激痛

背中のこりが現れ、徐々に痛んでくる「筋肉痛」のような症状以外にも、突然前触れもなく背中に"足をつったような" 強い痛みを感じるケースがあります。
日常の何気ない動作をした瞬間に突然背中に激痛が走り、その発症の仕方がぎっくり腰に似ているため、俗に「ぎっくり背中」と呼ばれることもある症状です。

頭、腕、肩、腰などを少し動かしただけでも強く痛むため、夜も寝返りがうてず、咳やくしゃみの振動でも痛みが走ります。ぎっくり腰と同じで、入浴時は体への負荷が減るため症状が和らぐという特徴があります。

軽めの筋肉痛や筋肉疲労でも、何度も繰り返していると背骨に無理がかかり、ぎっくり背中や椎間板ヘルニアなどを発症しやすくなります。
痛みがひどい場合は椎間板の変性も同時に進んでいると考えたほうが良いでしょう。たかが筋肉疲労と甘く見るのは禁物です。痛みをこじらせないうちに、早めに予防と治療の措置をとりましょう。

◆原因

軽度の筋肉疲労による一時的な痛みの場合と同じで、「過度の運動または運動不足」、「姿勢の悪さ・長時間同じ姿勢を続ける」、「腰痛・肩こり」などが主な原因です。
軽度のケースとの違いは、こうした要因が一時的なものではなく、習慣化されているという点です。

◆治療・対策

痛みが慢性化するということは、日常的に背中に負担となっているものがある可能性が高いということです。

安静にしたり、マッサージや鍼(はり)治療を受けるといった方法は、筋肉を休ませたり血行を良くすることで、現在表面に出てきている痛みを解消したり和らげる効果はあります。しかし慢性痛に対しては、あくまでその場しのぎの一時的な処置であり、数日で痛みが戻るようになります。

完治のためには、背中の負担となっている悪い生活習慣の改善を図ることが必要です。

休憩と気晴らし

運動のしすぎが原因であれば、痛みがよくなるまでは運動を控えめにしたり、安静を保つことが必要です。
運動不足が原因なら、安静やマッサージによって症状が和らいできたら、小さな負荷によるトレーニングやストレッチ、軽めの運動が効果的です。

姿勢の悪さが原因と考えられるならば、姿勢の矯正や作業合間の休憩やストレッチで背中の緊張をほぐすことを習慣づけるよう努力しましょう。

慢性化した痛みは解消まで時間がかかるため、すぐに結果を求めず、焦らずに少しずつ体質や環境を改善してゆきましょう。

「ぎっくり背中」のような、激しい痛みをともなう症状が出た場合は、症状がおさまるまで数日安静を保つのが基本ですが、1週間経っても全く症状が改善しなかったり、日常生活に支障をきたすほど症状がひどい場合は、別の病気や障害が潜んでいる可能性もあるので、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。

3.「重度」:数年にわたる慢性的な背中痛

◆症状・原因

背中の筋肉のこりや痛みが、数年〜という長期にわたって慢性化するケースは、年配の方、高齢者に多く見られます。

加齢によって背中の筋肉の柔軟性と伸張性が著しく低下し、筋肉の硬化も進んで背中の表面が硬くなります。
背部の毛細血管が圧迫され続けたことで酸素供給が不十分となり、神経の一部が死んで機能していない状態となるため、指圧などのマッサージを受けてもかなり強く押さないと痛みや気持ちよさを感じません。

痛みの大きさ自体はあまり変わらず、鈍い痛みが慢性的に持続するようになります。

◆治療・対策

慢性的な背中の痛み

前述した「中程度の慢性的な背中痛」の場合と同様です。
症状が更に進行しているため、治療にはより長い期間が必要となります。

加齢に伴う自然な老化現象の一つでもあるため、無理に完治は目指さず、少しでも痛みが和らげばそれで十分と考えたほうが良い結果をもたらします。
前向きな気持ちになったり、運動やマッサージによって心地よさを感じることで、快楽ホルモンが分泌され、痛みが和らぐ効果があることが科学的に証明されています。

逆に、完全に痛みが消えないと納得できないといったふうに神経質になってしまうとよくありません。
悩みやストレスは体の機能を調節する自律神経などの働きを鈍らせ、痛みを増幅させてしまいます。

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