背中の痛みにつながる要因
背中の痛みは、背中の筋肉や骨の障害だけでなく、腰や肩の異常、内臓の病気など、様々な原因によって生じる可能性があります。
ここではそうした体の異常につながる危険因子を紹介し、日常生活における改善のポイントなども交えて解説しています。
痛みを改善・予防するために、普段の生活習慣を見直し、背中に優しい生活を送りましょう。
<目 次>
1.姿勢や動作について
背中の痛みを引き起こす要因として最も多いのが「不適切な姿勢や動作」です。
なぜなら、一般的に良くない言われる姿勢や動作の多くは、腰や肩に大きな負担をかけるためです。
背中の痛みは、腰痛や肩こりの悪化によって間接的に生じることが多いのです。
- 背中を丸めた前かがみの姿勢(猫背)
- 中腰の姿勢
- 腰や背中を後ろに反らせる姿勢
- 膝を曲げずに重いものを持ち上げたり、重い物を持った状態で急に立ち上がる
- 首や腰を急にひねる、激しく動かす、何度も前後左右に曲げる
- 同じ姿勢を長時間続ける
背中にとって最も好ましい姿勢は、「背筋がピンと伸びた状態」です。
背筋が伸びていると、背骨が緩やかなS字カーブを描き、上半身の重みや外部からの衝撃をしっかり吸収・分散できるため、背中や腰への負担が最小限に抑えられます。
逆に、「前かがみ」、「中腰」、「腰を後ろに反らせる」といった背中が曲がった姿勢では、背骨のカーブを歪ませ、負荷を分散する働きが低下して、腰痛や背中痛を生じやすくなります。
普段の生活では、こうした姿勢を頻繁にとったり、長時間続けたりしないよう気をつけなければなりません。
重い物を持つ時にも注意が必要です。
体に体重以上の重荷が加わると、腰への負担がかなり大きくなります。さらに前かがみの姿勢や急な動作が加わると、腰が支えられる負荷の限界を超えてしまい、ぎっくり腰などの急性腰痛を発症する危険性が高まります。
首や腰を急にひねったり何度も激しく動かす動作は、筋肉を傷めたり捻挫を起こして痛みが生じます。
また、こうした動きは瞬間的にかかる負荷が大きいため、疲労がたまった状態で行うと、ぎっくり腰、ぎっくり背中、むち打ち症などの急性の痛みを発症するきっかけとなります。野球やゴルフのスイングをした時などによくみられます。
特に、腰をひねったまま前や後ろに曲げる動作は腰に大変な負担となりますので絶対にやめましょう。
- 腰を前に曲げる時は、先にひざを曲げたり、両足を前後に開くことで前かがみの姿勢を防止する
- 背中を曲げたり中腰の姿勢で作業をする時は、一度しゃがんだり、片ひざ・両ひざをついて行う
- 中腰姿勢が多い時は、時々休憩して背中を伸ばすストレッチを行う。腰に保護ベルトやサポーターを巻いて作業をするのも有効
- 自然に背中が丸まってしまったり、普段から姿勢が悪いと指摘される人は、腹筋が弱いために上半身を支えられていない可能性もあるため、腹筋運動などの筋力トレーニングを行う
良い姿勢であっても、長時間同じ姿勢を続けていると、背中や腰の筋肉が緊張して固くなったり皮膚と筋肉が圧迫されたりすることで、血液の流れが悪くなります。
筋肉が固くこわばり柔軟性がなくなると、背骨を支える力が弱まるだけでなく、血行も悪くなることで酸素や栄養素が不足して骨や筋肉が弱ってしまったり、血液内の疲労物質や炎症を強める化学物質が流れ出てゆきにくくなります。
その結果、背中の疲れや痛みが発生しやすくなり、症状も回復しにくくなります。
立ちっぱなしや座りっぱなしで仕事をすることの多い人は注意が必要です。
意外かもしれませんが、立っている時より座っている時のほうが腰にかかる負荷が大きくなります。特にパソコンを使ったデスクワークは、長時間同じ姿勢を続け、モニターを覗きこんで猫背になったり、目の疲れやストレスも重なって、腰、肩、背中のコリ・痛みが生じやすくなります。
- デスクワーク中心の事務員(特にPCを使うOA事務)、長距離ドライバー、店頭の販売員、看護師、介護師、運搬・配達業者、警備員、工場労働者など
30分に一度くらいは休憩を取るのが理想的です。トイレ休憩したり、少し席を立って歩いたりと、軽くからだを動かすようにしましょう。時間のとれない人は、こまめに少し姿勢を変えてみたり、イスに座ったままできる体操やストレッチで、目・首・肩・腰などを動かすだけでも疲労がたまりにくくなります。
イスや運転席用のクッションを利用するのも負担を減らすのに有効です。
【参考】
2.運動について
運動不足は身体機能を低下させ、背中痛を起こすリスクを高めます。
- 筋力や柔軟性が低下し、骨も弱くなる
背中や腰の筋肉・骨などの組織が弱くなり、筋肉疲労による痛み(筋肉痛)、骨折や背骨のゆがみ・変形による痛みを生じやすくなります。また、筋肉が硬くなり関節の動きも悪くなって、体を支える力が弱まるほか、背中痛の危険因子の一つである「姿勢の悪さ」や「血行不良」にもつながります - 老化が早まる
筋肉、骨、軟骨などの組織は定期的に使われていないと老化が早まり、からだが弱くなります - 肥満につながる
運動不足により太りやすく、体重の増加が背中や腰への負担を大きくします - からだの抵抗力(免疫力)が下がる
背中痛の原因となる様々な病気にかかりやすくなります
運動中に適切な休息をとらずに疲労を蓄積させたり、急な動きや激しい動きの多いスポーツをしていると、背中や腰に大きな負担がかかった時に背中の痛みを起こします。
背中の筋肉痛や捻挫が起こりやすく、骨や筋肉が成長過程の子どもの場合は、腰椎の疲労骨折もよく起こります。
<背中や腰を痛めやすいスポーツ>
- 野球、ゴルフ、ダンス→腰を急激にひねる動作が多い
- バレーボール、テニス、バドミントン、体操→スマッシュやアタックなどで瞬間的に体を大きく反らす
適度に体を動かしたり運動を行うことは、心身の健康に役立つのはもちろんのこと、背中の痛みの改善につながり、痛みの予防にも大変効果的です。
体が丈夫になって病気やケガをしにくくなるだけでなく、姿勢が良くなり、肥満を防ぎ、ストレス解消にもなるなど、間接的に様々な治療・予防効果が得られます。
- 骨や筋肉などの組織が強化される。からだの老化を遅らせる
組織が強く頑丈になり、柔軟性も向上することで、背中や腰を支える力が強まる。筋肉疲労・筋肉痛も起きにくくなる - 姿勢が良くなる
背中や腰を支える力が強まることで、自然と姿勢も良くなる - 体力がつき、抵抗力(免疫)が強まる
背中の痛みを引き起こす様々な病気にかかりにくくなる - 血行が良くなり新陳代謝もアップする
血行不良は背中痛の原因となります - 肥満を防ぐ
- ストレス解消になる
本格的なスポーツや激しい運動をする必要はなく、近所を軽く散歩する程度でも十分な効果が得られます。
定期的に行い継続すること、自分が気持ちよく感じる範囲で行うことが大事です。やり過ぎるとかえって痛みを発生させたり悪化させてしまいます。
運動不足の原因・理由 | 改善法 |
---|---|
運動やスポーツが苦手 | 景色を眺めながらのウォーキングやサイクリングなど、気軽に行えるものを選ぶ。運動の負荷が少なくても継続すれば十分な効果が得られる |
運動する時間が取れない | 日常生活の中で空いた時間を活用する
|
3.食生活について
食生活の乱れは、様々な面で背中の痛みと関係があります。
食べ過ぎや飲み過ぎは「肥満」をまねきます。
体重増加によって腰や背中にかかる負荷が大きくなるだけでなく、肥満は成人病や背中痛を伴う様々な内蔵の病気の原因となります(「肥満」の項目を参照)。
また、食べ過ぎは胃酸を大量に分泌させ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症リスクも高めます。
食事は適度な量を食べることが大切です。
昔から「腹八分目」が良いとされます。目安としては、「食後に満腹感を感じない」、「次の食事の前にお腹がグーグー鳴る」くらいです。
適切な食事の量は個人によって異なります。
肉体労働に従事する人やスポーツ選手などは一日に消費するエネルギーが多いため、その分多く食べても問題ありません。太らないためには、「一日の消費カロリー」 > 「一日の摂取カロリー」となるようにしましょう。
食べ過ぎだけでなく、食事を十分に採らずに痩せすぎてしまうのも背中痛の原因となります。
からだに必要な栄養素が不足することで骨や筋肉が弱くなるほか、女性の場合だとホルモンバランスの乱れが生じて、月経痛(生理痛)や骨粗しょう症を発症しやすくなります。
かたよった食事内容や食事制限による「栄養不足」も背中痛の要因の一つです。
お米やパン、麺類、イモ類などの炭水化物、脂っこいもの(脂肪)、甘いもの(糖分)などは高カロリーであるため、とり過ぎは肥満につながります。
筋肉の主成分であるたんぱく質が不足すると、筋肉がやせ衰えてしまいます。
カルシウムなどのミネラルやビタミンが不足すると骨が弱くなるほか、免疫が低下したり、様々な病気にかかりやすくなります。
筋肉や骨が弱くなると、姿勢が悪くなったり、背中や腰を保護する働きが弱くなることで痛みを生じやすくなります。
摂取する食品の種類を増やし、炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルの5大栄養素、及び食物繊維をバランスよく摂取するのが理想です。
一日3食しっかりとり、毎日同じくらいの時間帯に食べることを心がけましょう。
食事を抜いてまとめ食いしたり、食事の時間がまちまちだったりするると、空腹で食べ過ぎてしまったり脂肪がつきやすい体質になります。また、夕食以降に夜食をとるのも止めましょう。夜寝る前や就寝中は消費カロリーが少なく、食べた分の多くが脂肪に変わります。寝る前の3〜4時間は食事を控えましょう。
4.肥満と痩せすぎについて
肥満によって体重が増えれば、その分、腰や背中への荷重も増大します。
特に腰椎と骨盤との境界部分には体重の約60%の荷重がかかり、腰を前に曲げると負荷は4倍にもなります。
もともと体が大きくがっちりした体型の人は、太く丈夫な骨と大きな筋肉によって重い体重を十分に支えることができます。しかし運動不足や食べ過ぎによって余分な脂肪のついた「肥満体」の人の場合、増えた体重分の重さを十分に支える力がなく、荷重が腰椎にそっくり加わります。また、お腹が前につき出ると腰椎が前にせり出し、バランスをとろうとして腰に無理な力が加わり痛みを招きやすくなります。妊婦に腰痛が多いのはこのためです
食べ過ぎや運動不足が原因で肥満になる → 肥満が原因で腰や背中が痛む → 痛みと体の重さから運動するのが面倒になる → 更に肥満が進む → 痛みの悪化
肥満の人は、高脂肪・高カロリーな食事をするため体脂肪や内臓脂肪が多く、コレステロール値や中性脂肪値も高くなります。こうした状態は様々な病気の発症リスクを高めます。
<高脂肪・高カロリーによって発症する内臓の病気>
痩せすぎている人は、体に必要な栄養が不足しており、筋肉や骨が細く弱い傾向があります。
からだを支える力が弱く、姿勢も悪くなりがちで、健康な人よりも腰や背中にかかる負荷が大きくなります。
過度のダイエットによって体重が急激に減少すると、女性ホルモンの分泌が乱れて、月経痛(生理痛)や骨粗しょう症を発症しやすくなります。
5.冷え・圧迫について
エアコンの冷風、薄着、冷たい食べ物や飲み物などで体を冷やしたり、体を締めつけるキツめの服を着る行為は、1.筋肉を固く緊張させ、2.血液の流れを悪くします。
- 筋肉が固くなって柔軟性がなくなると、負荷や衝撃を吸収・分散する働きが弱まり、背骨を支える力が弱まって負担が大きくなります。また、体の動きが悪くなってケガもしやすくなります。
- 血行が悪くなると、酸素や栄養素が不足して骨や筋肉が弱ってしまうほか、血液内の疲労物質や炎症を強める化学物質が排出されにくくなり、痛みが発生しやすく、悪化もしやすい状態になります。また治りも遅くなります。
冷え性の人や、体が冷えやすい環境にいることの多い人は、背中の痛みを発症しやすい状況にあるといえます。
普段からからだを温めるための様々な対策をとることが大切です。
6.加齢について
人のからだは20歳を過ぎた頃から少しずつ老化し始め、年齢を重ねるほどそのスピードは増していきます。
背中や腰の筋肉、骨、関節などが弱くなったり変形することで、体を支える機能も低下し、背中の痛みを発症しやすくなります。
- 筋肉や靭帯
どちらも弾力性や柔軟性が低下し、張りがなくなって硬くなります。筋肉は細くなって筋力が低下し、靭帯は分厚くなって神経を圧迫しやすくなります - 骨や椎間板
水分に富んだ椎間板は徐々に水分が減り、硬くなって弾力性が失われます。クッション 力の低下によって上下の骨同士がこすれ合ってすり減り、加齢によってカルシウムを吸収する働きが悪くなることも加わって、骨はもろくなり変形が進みま す - 関節
老化による骨や椎間板の変形に伴い、背骨の骨同士を連結する椎間関節はきちんと噛み合わなくなったり、関節がすり減ったりしていきます - 骨盤
若い頃は水平に保たれていますが歳をとるごとに前に傾いていきます。すると上体も前に傾いて背骨が曲がっていき、ゆるやかだった背骨のS字カーブが大きくなって歪んでいきます
歳をとるほど体力や免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなります。内臓の病気には背中痛を引き起こすものも多くあります。
女性が50歳前後で月経の終わりである「閉経」を迎えて更年期に入ると、ホルモンバランスの崩れから、肩こり、腰痛、冷え性など、背中痛につながる様々な不快症状が現れ始めます(更年期障害)。
同時に女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減るため骨量が減少し、骨粗しょう症による骨折で背中痛が発症しやすくなります。
加齢に伴い身体機能が低下してくるのは自然な老化現象なのでやむを得ないところですが、規則正しい生活を送ることで老化のスピードをだいぶ遅らせることができます。
老化に対する特効薬はなく、一般に健康に良いとされる生活習慣を送ることが大切です。
- 暴飲暴食は控え、栄養バランスの良い食事をとる
- 一日3食、毎日決まった時間に食事をする
- 適度な運動を定期的に行う
- 睡眠時間は十分にとり、早寝・早起きを心がける
- 疲労やストレスをためない
- 過度の飲酒・喫煙をしない
- 趣味、生きがいをもつ
7.疲れやストレスについて
ストレスや不安、からだの疲れが重なると、自律神経に代表される「体の調子や痛みを制御するシステム」の働きに異常が生じて、通常では感じられない痛みを感じるようになったり、弱い痛みが何倍にも強く現れるようになります。
病院などで診察を受けた結果、筋肉や骨といった体の組織にも、内蔵にも異常が見られない場合、ストレスが痛みの主な原因である可能性があります。
こうした心因性の痛みは、職場や家庭に不満や問題を抱える人に多くみられるほか、痛みに対する恐怖が強かったり、医療に対する強いこだわりを持っていたりと、個人の性格によっても発症しやすくなります。
特に完全主義でこだわり性な人、責任感の強い人、神経質で些細な事を気にしてしまう人、悲観的で小さなことでクヨク ヨしやすい人などは注意が必要です。
疲れやストレスがたまると、免疫力が低下して病気にかかりやすくなります。
内臓の病気には背中痛を引き起こすものも多くあります。
<特にストレスが原因となりやすい病気>
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がん、月経痛(生理痛)、更年期障害など
身体的な疲労に対しては、とにかく体を休ませることです。自宅などリラックスできる場所でのんびり過ごす時間や睡眠時間を長くとるようにしましょう。
ストレスに対しては、ストレスの元となっている要因を取り除ければ一番ですが、実際には難しいことが多いと思います。そんな時はストレスを無くすのではなく、ストレスをできる限り少なくする、溜まり過ぎないようにすることが大切です。そのために自分なりのストレス解消法を持ちましょう。
スポーツ、音楽鑑賞、趣味に打ち込むなど、内容は問いません。ストレスの発散には、自分が好きなこと、楽しいこと、心地良いと思うことを行うのが一番です。ただし、暴飲暴食、過度の飲酒や喫煙などは逆に身体を害してしまう恐れがあるので止めましょう。
何も思いつかない場合は、ゆっくりと休養を取ったり、軽めの散歩などでも十分効果があります。
8.病気やケガについて
背中の痛みにつながる可能性のある病気や怪我の例を紹介します。
要因 | 背中痛を生じる病気・障害 |
---|---|
背中、胸、首のケガ | 捻挫・打撲、骨折、むち打ち症、肋間神経痛 |
背中や腰のケガを繰り返している | 椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症 |
高血圧、高脂血症 | 狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤 |
動脈硬化、不整脈などの心臓の病気、血液の病気 | 狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、腎梗塞、腎静脈血栓症、肋間神経痛 |
糖尿病 | 狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、胆石症、膵臓がん、化膿性脊椎炎、骨粗しょう症 |
風邪(かぜ)・インフルエンザ | 風邪・インフルエンザ、胸膜炎、肺炎、肋間神経痛 |
結核 | 胸膜炎、脊椎カリエス |
肝臓病、慢性腎臓病、甲状腺疾患など | 骨量の減少(骨粗しょう症) |
・膀胱や尿道の病気(前立腺肥大、膀胱炎など) ・尿路の形の異常など、尿の流れを妨げるもの |
腎盂腎炎、尿路結石 |
泌尿器や生殖器系の病気(炎症を伴うもの) | 腎盂腎炎、尿路結石、化膿性脊椎炎 |
帯状疱疹 | 肋間神経痛 |
更年期障害 | 肩こり、変形性脊椎症 |
水分不足や高カルシウム尿症 | 尿路結石 |
薬の副作用 | アスピリンや一部の鎮痛剤:胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃炎 ステロイド薬:骨量の減少(骨粗しょう症)、尿路結石、胃炎 抗がん剤:胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃炎 強心剤:胃炎 |
9.その他
お酒は適度な量を飲むなら、様々な健康効果があることが研究で分かっています。しかし、お酒もたばこも度を過ぎると害にしかなりません。
アルコールやたばこを一度に過剰な量を摂取したり、多めの量を長期にわたり摂取する場合、背中痛を発症する様々な病気のリスクが高まります。
- タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があり、血流が悪くなることで骨や椎間板に十分な栄養が届かなくなり、老化・変形が進みます(椎間板ヘルニアなど)
- タバコが血管に及ぼす影響は明らかで、動脈硬化の危険因子の一つです。動脈硬化は狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、腎梗塞、腎静脈血栓症などを起こすことがあります
- タバコは胃腸の働きを悪くしてカルシウムの吸収を妨げ、骨密度を低下させます。またアルコールやカフェインを摂り過ぎると、カルシウムの吸収を減らしたり、尿にたくさんのカルシウムが溶け出すようになります。このように飲酒・喫煙は骨粗しょう症の原因になります
- 飲酒・喫煙は胃に負担をかけ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、食道炎・逆流性食道炎の原因となります
- 過度の飲酒によって急性胃炎やアルコール性肝障害(肝炎、肝臓がん)の危険性が高まります
- 喫煙者はたばこを吸わない人に比べて胃がんのリスクが2〜3倍高いといわれます
- 膵炎の40%程度はアルコールが原因で起こります(アルコール性急性膵炎)
- 飲酒や喫煙習慣のある人は、膵臓がんや大腸がんにかかりやすくなります
睡眠不足、夜更かし、昼夜逆転の生活などは、体の疲労やストレスを蓄積させたり、からだの機能をコントロールする自律神経の働きに乱れを生じさせます。
その結果、体力や免疫力が低下して病気にかかりやすくなったり、ストレス性の痛みや、ホルモンバランスの崩れによる月経痛(生理痛)、月経不順、更年期障害なども生じやすくなります。
深い眠り、質の良い睡眠によって心とからだの疲労は回復します。
長く寝れば良いというものではなく、ぐっすり眠れて目覚めが良ければ6時間程度の睡眠で十分といわれます。
質の良い睡眠をとるためのポイントは、「毎日6〜8時間の睡眠をとる」、「遅くとも夜11時前には寝る」、「寝る1〜2時間前はテレビ、パソコン、スマートフォンの画面を見ない」、「就寝前は音楽を聴いたり読書をするなどして脳をリラックスさせる」、「入浴などで体が温まった状態で寝る」、「昼間なるべくからだを動かして適度に疲労させる」などで す。
逆に質の悪い睡眠とは、「夜更かしして遅い時間に寝る」、「普段から睡眠不足で週末にまとめて寝だめする」、「夜勤などで昼間に寝る」、「一度目が覚めてもベッドから出ずにダラダラと寝続ける」などです。
荷物を持つ時は、左右の手をバランスよく使いましょう。いつも同じ側の手で持っていたり、同じ側の肩にバッグを掛けていると、体の重心が崩れて背骨や骨盤に負担がかかります。リュックサックを使うようにするのもオススメです。
靴は、靴底が厚いものやクッション性の高いものを履くと、歩行時の腰・背中への負担を減らせます。ウォーキングシューズやスニーカーが良いでしょう。また、靴のサイズも重要です。履いた時にカカトの後ろに指一本分くらいの隙間ができるのがちょうど良いサイズです。
少し難のある靴でも、インソール(中敷き)を使うことで欠点を解消することができます。柔らかくクッション性の高いのもが販売されています。サイズが大きい靴に使えば、サイズをある程度調整することもできます。
【参考】:オススメのインソール(中敷き)
逆に良くないのは、靴底が薄くて硬い靴や、ハイヒールなどのカカトの高い靴、サイズの合わない靴です。
靴底が硬いと体への衝撃が大きくなりますし、靴底の傾きが大きい靴やサイズの合わない靴を履くと上体のバランスが崩れ、それを補おうと腹筋や背筋に余計な力が入って筋肉が緊張します。長く歩いていると疲れるような靴を履いていると腰痛や背中痛が起こりやすくなります。
仕事や家事でもスポーツでも、あまり頑張り過ぎないよう心がけましょう。
頑張ってばかりいると、からだの疲れやストレスがたまったり、自律神経のバランスが崩れて症状が悪化します。疲れがたまる前に十分な休息をとり、心にも体にも常に「まだまだ余裕がある」という状態を維持するのが理想的です。
10.まとめ
- 背中や腰にやさしい姿勢・動作を心がける
- 定期的に適度な運動を行う
- 規則正しくバランスのとれた食生活
- ストレスをため込まずに発散する
- 背中や腰を冷やさない
- がんばり過ぎない
- しっかり睡眠・休憩をとる