普段の食事を見直して背中の痛みを遠ざけよう

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背中の痛みの対策と予防 解剖図イラスト:背中の骨・筋肉背中の痛みの体験談

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食事と背中の痛みの関係

乱れた食生活を送っていると、様々な理由から背中に痛みを生じるリスクが高まります。
食生活で気をつけるポイントは、「食事の量」、「食事の回数や時間帯」、「栄養のバランス」の3点です。
こうした要因の乱れは、体への負担が大きい「肥満」につながったり、病気や障害の起こりやすい体になります。

<目 次>

  1. 乱れた食生活による肥満
  2. 栄養不足で背中が弱くなる
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1.乱れた食生活による肥満

食生活の乱れは、多くの場合「肥満」につながります。

腰椎と骨盤との境界部分には体重の約60%の荷重がかかり、腰を前に曲げると負荷は4倍にもなります。
肥満によって体重が増えれば、その分、腰や背中への負荷も増大して、腰や背中に痛みを生じやすくなります。


<太りやすい食生活・習慣>

  1. 食べ過ぎ・飲み過ぎ、高カロリーな食品の摂り過ぎ
  2. 早食い、ながら食い
  3. 食事時間や1日の食事回数が不規則
  4. 夜遅くや、寝る前に食べる

各項目について詳しく見ていきましょう。


◆1-1.暴飲暴食、高カロリー食品の過剰摂取

食べ過ぎによる太り過ぎ

一般に食事は「腹八分目」が良いといわれています。つまり、満腹感を感じず、やや物足りないくらいが健康のためには理想的というわけです。
お腹が張るまで食べたり、食べるのがつらくなったり、美味しく感じられなくなるまで食べるのはよくありません。

また、食べる量がそれほど多くなくとも、単位あたりのカロリーが高い食品を摂り過ぎれば、すぐに太ってしまいます。高カロリーであったり、脂肪に変わりやすい食品には以下のようなものがあります。


  • 油(脂)っぽいもの → 揚げ物や脂身の多い肉など
  • 砂糖を多く含むもの → 菓子類、甘いジュースや缶コーヒー
  • 炭水化物類(穀物) → 米、パン、麺類、いも類、とうもろこしなど
  • お酒、アルコール類
対策

まず、上に挙げたような高カロリー食品は摂り過ぎず、代わりに野菜、果物、脂肪分の少ない魚介類や鶏肉・赤みの肉などを摂取するよう心掛けましょう。また、高カロリーなものは朝と昼だけ摂るようにしたり、週末など決まった日に自分へのご褒美として摂るようにすると続けやすいでしょう。

お腹が減るとどうしても食べてしまうという人は、満腹感を得るための工夫をしてみましょう。
例えば、野菜、海草、こんにゃくなどの低カロリーな食品を多めに食べたり、ジュースの代わりにお味噌汁を飲んでみましょう。また、よく噛んで食べることで満腹感が得られやすくなります。フランスパン、玄米、麦飯、炒り豆、スルメなど歯ごたえがあるものを一品加えるだけでも大分違います。

間食の多い人は、お腹がすかないように三食しっかり摂ること、甘いモノを極力減らすこと、自宅にお菓子をたくさん常備しておかない、目につくところに置いておかないなどの対策が有効です。

どうしても好きなものをたくさん食べたいなら、仕事やスポーツで積極的に体を動かし、消費エネルギーを増やしましょう。ついでに筋肉がついて太りにくい体質になるため一石二鳥です。


<血糖値の上昇を抑えて肥満を防ぐ>

手軽にできて効果の高い方法が、「食べる順番を変えること」です。

砂糖や、消化後にブドウ糖に変わる炭水化物などの「糖類」は、空腹時に摂取すると血液内の糖の濃度「血糖値」を急上昇させます。
血糖値が急激に高くなると、体内で「インスリン」というホルモンの分泌量が増えます。インスリンには血糖をとり込んでエネルギーに変えるなど様々な働きがありますが、血糖を脂肪細胞に蓄えて脂肪を作る働きも持っているため、インスリンの分泌が増えすぎると、たくさんの脂肪が作られるようになります。さらに血糖値の高い状態が長く続くことで糖尿病などの病気のリスクも高まります。

血糖値が急激に上昇するのを防ぐには、食事の際に「血糖値が緩やかに上昇する食品」から食べ始めることが重要です。
こうした食品は「低GI食品」と呼ばれます。血糖値が上がりにくい食品におおまかに順番をつけると以下のようになります。

  • ビタミンや食物繊維を多く含む「野菜」類 > 脂肪分を多く含む食品 > タンパク質を多く含む食品 > 果物類 > 炭水化物、砂糖の多い食べ物

つまり、肥満を抑えるには、食事の最初に野菜などの副菜を食べ、次に肉や魚、卵、大豆、乳製品などの主菜を食べ、最後に米・パン・麺などの主食や果物類を食べると良いのです。
間食も甘いお菓子類は減らして、代わりにナッツ類などを食べると良いでしょう。

◆1-2.早食い、ながら食い

食事をすると体内の血糖値が上がり、満腹中枢が刺激されることによって、人はお腹がいっぱいになったと感じます。

満腹感を感じるまでにかかる時間はだいたい15〜20分で、早食いの人はこれよりも早く食事を終えてしまうため、満腹感を感じにくく、つい食べ過ぎてしまう傾向があります。

また、テレビを見ながら食べたり、仕事をしながら食事をするといった「ながら食い」は、他の作業に集中することで通常よりも味覚が鈍ります。食事の味が良くわからなかったり、十分に味わえなかった経験がある人は多いのではないでしょうか。その結果、食事の満足感が減って余分に食べてしまったり、調味料を多めに使うことで肥満につながります。

対策

まずは、食事をじっくりと楽しむことを心掛けましょう。
一日3回の食事は、"毎日必ず"、"安価に"、"手軽に"幸せを感じることのできる時間です。それを十分に楽しまずに短時間で終えてしまうことは、人生の大きな楽しみの一部を自ら放棄してしまっているようなものです。

食事の時間は、目や耳に余計な情報は入れずに食事に集中し、ゆっくりと美味しさを味わうようにしましょう。食事から多くの幸福感・満足感を得ることは、心とからだに良い影響をもたらします。

◆1-3.食事の時間や1日の食事回数が不規則

食事を抜いたり、食事をとる時間がまちまちだったりすると、次にいつエネルギーを補給できるか分からず、いざという時に備えて体がエネルギーを蓄えようとするため、太りやすくなったり、やせにくくなったりします。

また、食事を抜いてまとめ食いをするのもよくありません。空腹から食べ過ぎてしまいがちです。
特に忙しい現代人は朝食をおろそかにしがちですが、朝食は一日の活動に必要なエネルギーを得るための大事な時間です。朝食をとらないと朝から元気がで出ず、どうも調子が良くない、ボーっとして頭がうまく働かない、といった悪い影響がでます。

対策

規則正しい生活を送る心構えが必要です。食事は毎日、朝・昼・夕の3回、なるべく同じ時間に食べるようにしましょう。最初は大変でも頑張って続けていれば、次第に体調が良くなり、習慣化しやすくなっていきます。

朝の出勤が早くて決まった時間に食事を取りにくかったり、食欲が無い場合は、携帯できる小型の栄養補助食品などで構わないので、決まった時間に少しでもお腹に入れておくだけでも大分違います。

◆1-4.夜遅くや、寝る前に食べる

朝起きて昼間に働き、夜眠るという一般的な生活スタイルを例にした場合、朝食や昼食で摂取したカロリーの多くは一日の活動の中で消費されます。それに対し、夜帰宅した後は、あまり動かずに家でゆっくり過ごすことが多く、一日のうちで最も消費カロリーが少なくなります。

よって夜間に摂取したカロリーは、朝や昼間に比べて消費されずに多く残りがちです。夜食べる時間が遅いほど多くのエネルギーが残ります。
更に、就寝時に体内に残ったエネルギーは、起きている時に比べて脂肪に変わる割合も増えるため、夜の食べ過ぎが一番肥満につながりやすいのです。

対策

朝食や昼食の量を多めにして、その分夕食を減らすのが理想的です。
とはいえ昼間の仕事や家事でからだが疲労していると、夜はどうしてもお腹がすいて食欲も旺盛になりがちです。脂っぽいものや糖分の多いものなど高カロリーな食品、主食の炭水化物類は控えめにして、脂肪の少ない肉・魚類や野菜を多めにとるなどの工夫をしましょう。
また、できるだけ早めの時間帯に夕食を済ますようにすれば消費カロリーを増やせます。遅くとも寝る2時間前までには食事を終えるようにしましょう。

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2.栄養不足で背中が弱くなる

私たちの体は、日々摂取される栄養を材料として、皮膚、筋肉、骨など、体中の組織が常に新しいものに作り替えられています。
しかし、かたよった食事で必要な栄養が十分に摂れていないと、体の組織の老化が進み、背中も弱くもろいものになっていきます。
また、栄養不足はからだの抵抗力(免疫力)を低下させ、病気や障害が起きやすい体になります。

◆背中を丈夫に保つために必要な栄養素

人が健康を保つために必要な栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルの5大栄養素と、食物繊維の計6つです。

それぞれに異なる役割があり、お互いに作用しあうことで十分な健康効果が得られます。そのため上記6種類の栄養素をまんべんなくバランスよく摂取することが理想的ですが、ここでは背中痛の予防・改善のために、特に積極的に摂取したい栄養素について解説します。

1.骨を作り丈夫にする「カルシウム」

牛乳でカルシウム補給

カルシウムは骨や歯の材料となる栄養素です。そのほか、心臓の拍動、成長ホルモンの分泌や筋肉の収縮、血液の凝固、神経伝達機能を助けるなどの働きをしており、必要な分が骨から血液中に溶け出して補われます。

からだを維持するためにカルシウムは常に消費されていますので、カルシウムの摂取量より消費量の方が多くなると、骨量(骨密度)が低下して骨の中身がスカスカになり、骨がもろくなります。こうした病状を骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といいます。
骨量の低下は、特に生理の終わった閉経後の女性や、妊娠中・授乳中の女性の多くみられるため積極的な摂取を心がけましょう。

カルシウムは体内に吸収されにくく、吸収率の良い成長期の子供でも50%未満、成人では20〜30%程度しか吸収されません。また、食品によっても体内に吸収されやすいカルシウムとそうでないものがあります。よって一日に必要とされる600〜700mgのカルシウムより少し多めに摂取するようにしましょう。

なお、一日あたりの摂取上限量は2300mgとなっています。カルシウムの摂り過ぎは血中カルシウム濃度を上昇させ、血液がドロドロの状態となり心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを高めますので注意が必要です。

カルシウムを豊富に含む食べ物

  • 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
  • 魚介類(サバ、いわし、シシャモ、ちりめんじゃこ、干しエビなど)
    ※骨ごと食べられるものが良い
  • 豆類(大豆、豆腐、納豆)
  • 緑黄色野菜(チンゲンサイ、切り干し大根、大根の葉、小松菜、水菜など)

2.骨形成に必要な「ビタミン・ミネラル」

カルシウムの吸収率を高める効果があるのがビタミンDビタミンKです。
ビタミンDは日光を浴びることで体内で作られるため、天気の良い日は積極的に外出して陽の光を浴びましょう。不足分は食品から補う必要があります。

丈夫な骨を作るためには、カルシウム、ビタミンに加えていくつかのミネラルが必要です。
まず一つ目はリンです。カルシウムに次いで体内に多いミネラルで、その8割程度が骨と歯の材料に使われます。2つ目はマンガンで、新しい骨の細胞を作り、古くなった骨細胞を壊す働きがあります。3つ目がカリウムで、カルシウムが排泄されるのを防ぎます。

積極的に摂りたい食べ物

  • ビタミンDが豊富 → しいたけ、いわし、しらす、鮭、きくらげ、卵黄
  • ビタミンKが豊富 → 納豆、パセリ、しそ、モロヘイヤ、わかめ、のり
  • リンが豊富 → しらす、いわし、チーズ、するめ、ごま、のり、卵黄
  • マンガンが豊富 → しょうが、しそ、日本茶(玉露)、しじみ、そば
  • カリウムが豊富 → ほうれん草、パセリ、よもぎ、アボカド、こんぶ、ひじき、納豆

3.筋肉を作る「たんぱく質」

たんぱく質は体のあらゆる部分を作るために必要な栄養素です。
筋肉はもちろん、臓器や皮膚、毛髪などの体中の組織も、血液、ホルモン、遺伝子、神経伝達物質も全てたんぱく質から作られています。
筋力トレーニングで効率的に筋肉を鍛えたり、疲労した筋肉の回復を早めるためには、積極的にたんぱく質を摂取すると良いでしょう。

たんぱく質は20種類のアミノ酸が材料となっていて、このうち体内では合成できず食品から摂取しなければならないアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、全9種類あります。この必須アミノ酸をまんべんなく含む良質のたんぱく質には以下の様なものがあります。


  • 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
  • 肉類(牛肉、豚肉、鶏肉)
  • 魚介類(サバ、アジ、鮭、いわしなど)
  • 豆類(大豆、豆腐、納豆)


◆サプリメントの活用

サプリメントを利用

現代人は肉食中心の欧米風の食生活が主流となっているため、野菜や魚に多く含まれるビタミン、カルシウム、ミネラル類が特に不足しがちであると言われます。

どうしてもこれらの栄養素がうまく摂れない場合は、サプリメントなどの栄養補助食品を利用するのが効果的です。錠剤タイプのものが多く、時間や手間をかけずに手軽に栄養を摂取できます。

ただし、サプリメントにも問題点がいくつかあります。

自然の食べ物は様々な栄養素を含んでいて、それらが互いに複雑に作用しあうことで好ましい健康効果や高い吸収率が得られると考えられています。しかしサプリメントは対象となる栄養素のみを科学的に抽出して凝縮したものであるため、食品と全く同じ健康効果を期待するのは難しく、吸収率でも劣ります。また、栄養素の含有率が極端に高いものも多いため、過剰摂取による副作用が起こる危険性も高まります。
過剰症はサプリメントなどの人工物で大量に摂取した場合に起こり、自然食品から摂取した場合はほとんど起こらないケースが多いです。

栄養はできるだけ通常の食事から摂取するようにし、サプリメントは特定の栄養素が不足していると感じた時に、「適量」を補助的に利用することが大切です。

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