脊椎(脊柱)側湾症によって痛むケース

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背中の痛みの対策と予防 解剖図イラスト:背中の骨・筋肉背中の痛みの体験談

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脊椎側弯症とは(症状・原因・治療)

背中の痛みを引き起こす可能性のある病気の一つに「脊椎側弯症(せきついそくわんしょう)」があります。
ここでは背中の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.脊椎側弯症が疑われる症状

背骨の歪みと背中の痛み

背中の痛みのほかに、以下のような特徴や症状が見られる場合、脊椎側弯症が発症している可能性があります。



  • 背中を後ろから見た時に、背骨が左右に曲がっている
  • 肩の高さや腰の高さが左右で違う

脊椎側弯症になると、通常は真っ直ぐなはずの背骨(脊椎)が横に曲がってしまい、裸になって背中を後ろから見たときに背骨が「S字状」または「逆S字状」に曲がっているのがわかります。
それによって体がゆがみ、前屈した時などに左右の肩や背中の高さが明らかに違うのが見て分かるようになります。

病気の初期や症状が軽い場合は、痛みなどの自覚症状が全くないことが多く、学校の検診や他人からの指摘で背骨の異常に気づくことが多いです。
病状がある程度進行すると、背中の痛みのほか、腰痛もよく見られます。重症化すると心臓や肺が圧迫されて呼吸困難などの心肺機能の障害がおこることもあります。

<チェックポイント>
イラスト図解:脊椎側弯症の特徴

2.脊椎側弯症とは 〜 原因と特徴

脊椎・脊柱について
背骨は硬い骨(椎骨)と水分を含んだ柔らかい組織(椎間板)が交互に重なってできています。背骨全体を「脊柱(せきちゅう)」と呼び、一つ一つの骨を指す場合に「脊椎(せきつい)」と呼ばれます。
脊椎の構造(クリック拡大)
背骨・椎骨・椎間板

背骨は体の前後から見ると通常はまっすぐ直線を描いています。これが左右にゆがみ、その上ねじれも加わる病気を脊椎側弯症または脊柱側弯症といいます。

主に学童期、思春期の子どもにみられます。


◆背骨が曲がる原因

脊椎側弯症は、脊椎が曲がる原因によって機能性側弯症構築性側弯症の大きく2種類に分けられます。

機能性側弯症は、「姿勢の悪さ」、「筋肉の発育不良」、「肥満」、または椎間板ヘルニアなどの病気によって一時的に側弯が起こるもので、"脊椎のねじれ"はみられません。

構築性側弯症は、脊椎を構成する骨(椎体)が変形することで生じるものです。その多くは原因が分からない突発性側弯症で、脊椎側弯症全体の約70%を占めます。これは学童期、思春期の子ども(特に10代の女子)に多く見られ、成長とともに徐々に進行します。
突発性側弯症はさらに発症時期ごとに「乳幼児側弯症」「学童期側弯症」「思春期側弯症」に細分化されます。

原因が分かっているものは以下のとおりです。

  • 「先天性側弯」:生まれつき脊椎に異常があるもの
  • 「マヒ性側弯」:ポリオ(急性灰白髄炎)等に伴うもの
  • 「神経原性側湾症」:脳や脊髄異常に伴うもの
  • 「筋原性側湾症」:筋肉異常によって姿勢が保てなくなり発症するもの
  • 「間葉性側湾症」:マルファン症候群という遺伝障害に伴うもの
◆脊椎側弯症になりやすい人

機能性側弯症

  • 姿勢の悪い人、日常的に片方の肩に大きな負荷をかけている人(カメラマンなど)、椎間板ヘルニアなど脊椎の病気や障害を持っている人(または経験のある人)

構築性側弯症

  • 骨や筋肉が成長過程にある10代の子ども。特に女の子や肥満児

◆合併症について

脊椎側弯症は、脊椎の湾曲がみられる他の病気(後湾症や前弯症)も加わって、脊椎が複雑にねじれてしまうことがよくあります。こうなると治療も長く困難なものになってきます。

症状が進行すると脊椎や他関節への負担が大きくなり、椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症などを併発することがあります。

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3.診断・治療・予防

◆診断
正常な脊椎と曲がった脊椎(X線)
脊椎側湾症のレントゲン画像

主に視診、触診、X線検査(レントゲン)で診断します。
症状が軽度の場合、自覚症状がほとんどなく、見た目にもわかりにくいためX線検査は必須です。ある程度症状が進行していれば、背骨の歪みが見ただけではっきり分かりますが、確実に診断するためにX線撮影も行います。


◆治療

早期に発見すれば、コルセットなどの装具をつけて曲がった脊椎を矯正する「装具療法」、矯正体操を行う「運動療法」、骨を上下に引っ張る「牽引療法」などの、比較的簡単な治療法で治せます。
治療期間は長くなりがちで、場合によっては背骨の成長が終わる17〜18歳まで続けられるため本人にも家族にも根気が必要です。

以下のようなケースでは、金属のネジやプレートを使ってゆがみ(弯曲)を矯正する「脊柱側弯矯正手術」を行います。

  • 背骨の弯曲が重度の場合
  • 弯曲の進行が早く、将来症状がひどくなると予想される場合
  • 保存的療法を行っても背中や腰の痛みが改善せず、日常生活に支障がある場合
  • 骨によって神経が圧迫され、下半身のしびれや麻痺、排尿・排便障害などの神経症状が見られる場合

他の病気が原因となっている場合は、その病気の治療も並行して行います。

【関連項目】

◆予防

脊椎側弯症は児童や学生に多く見られるため、小学校〜高校の健康診断では、脊柱・脊椎の検査を行うことが「学校保健安全法」により定められています。「脊柱検査」や「モアレ検査」等の名称で呼ばれます。私立の学校では行われないところもあります。

普段から子どもの姿勢には気をつけさせ、重い荷物を継続して持たせず、肥満を防ぎ、骨や筋肉の成長のため栄養バランスの良い食事をとらせるましょう。また、子どもの体型に気を配り、異常があれば早めに整形外科を受診してください。

先にも述べたとおり、放置すると背骨のゆがみ・ねじれが複雑になることも多く、心臓や肺の病気を引き起こすこともあるので、早期発見と早期治療が大切です。

4.その他

【脊椎側弯症の原因となる病気・障害】

  • 脊椎後湾症

【脊椎側弯症が原因で起こる病気(合併症)】

  • 脊椎後湾症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、心臓の病気、肺の病気
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