運動による背中痛対策 - 3.軽い負荷で全身を動かす運動

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体力や抵抗力をつけ、肥満や老化も防止する「全身運動」

運動は、背中や腰の痛みに対して高い治療・予防効果を持ちます。
ここでは特に、軽めの負荷で全身を動かす運動である「全身運動(有酸素運動)」について、具体的なやり方と得られる効果を解説します。

<目 次>

  1. 運動を行う際のポイント、注意点
  2. 全身運動の種類と効果
    2-1. 散歩・ウォーキング
    2-2. ジョギング・ランニング
    2-3. サイクリング・自転車こぎ
    2-4. 水泳・水中ウォーキング
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1.運動を行う際のポイント、注意点


  1. 服装は体を締めつけない、動きやすいものを着用しましょう
  2. 思わぬケガや痛みの悪化を起こさないよう、運動の前には入念すぎるくらいの準備運動(ウォーミングアップ)を行い、全身の筋肉や関節をしっかりほぐしておきましょう。運動後の整理運動(クーリングダウン)も大事です。整理運動は筋肉の疲れをとり、回復を早めたり筋肉痛の予防効果があります。
  3. 体調がすぐれない時や、痛みが強い時は無理に行わずに休みましょう。特にぎっくり腰のような急で激しい痛みが見られる場合には行ってはいけません
  4. 運動中に激しい痛み・違和感・不快感などを感じた場合には、すぐに運動を中止して休息し、症状が治まるのを待ってください。症状が治まらないようなら医療機関を受診しましょう。
    特に以下のような症状が見られた場合は、例え症状が治まったとしても大事をとって診察を受けておくことをおすすめします。
    • 足腰に強い痛みやしびれを感じる。または足腰に力が入らない
    • 頭痛やめまい、激しい動悸、息切れなど
    • 冷や汗が出たり、気分が悪くなる
  5. 無理はせずにできる範囲で安全に行いましょう。
    限度を超えてやりすぎたり、疲れ・だるさ・コリ・張りなどの違和感を感じている時に無理に行うと、筋肉が疲弊しすぎて逆に痛みを発症させてしまいます。

別項でも運動時のポイントや留意点について詳しく解説しています。

2.全身運動の種類と効果

運動は大きく分けると、体を動かすためにたくさんの酸素を必要とする「有酸素運動」と、それほど酸素を必要としない「無酸素運動」があります。
走ることでいえば、適度な負荷で長時間走るジョギングやマラソンが有酸素運動で、短時間に大きな力や瞬発力を発揮する短距離走が無酸素運動です。
全身を使う運動の多くは有酸素運動であるため、ここでは「全身運動」と言い換えて解説しています。

代表的な全身運動には、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、ダンスなどがあります。
酸素を体内に多く取り込むことで、効率よく脂肪や糖質を燃焼させてエネルギーを消費でき、肥満の解消や予防に役立つほか、血液の循環がよくなり心肺機能を高める効果が期待できます。強い力を必要とせず、からだに一度に大きな負荷がかかることが少ないためケガの危険性も少なく、どれも比較的安心して行えます。

目的・効果

全身運動① 「散歩・ウォーキング」

全身運動のうち、最も手軽にできてオススメなのが「ウォーキング」です。

ウォーキングはほかの全身運動に比べて背中や腰への負担が軽く、それでいて骨、筋肉、関節などの組織を強化する効果も十分にあります。
そのほか「時間や場所を選ばず手軽にできる」、「一人でも複数人でも楽しめる」、「歩く距離も自由」、「お金もほとんどかからない」など、とても利点の多い運動です。

気軽に散歩から始めよう

ウォーキングといっても、ただ外に出て散歩するだけでも良いので簡単です。家のまわりを一周したり、近所を散策したり、ちょっと長めにウォーキングしたり、どこかに出かけたついでに周辺をちょっと歩いてみたりと色々なやり方があります。1人で気楽に行ってもいいですし、夫婦や仲の良い友人たちとでもいいでしょう。良い景色を眺めたり、楽しいおしゃべりをしながら歩ければより楽しくなります。

最初は無理せず歩ける時間と距離で行い、慣れてきたら徐々に長くしていきます。最終的には毎日20〜30分続けられるようになるとよいでしょう。
散歩の効用は、運動やストレス発散、気分転換になるだけではありません。外の空気を吸って、太陽の光や風を感じ、眼や耳から外界の色々な刺激が入ってくることです。それによって、脳の下行性疼痛抑制系が刺激されると、痛みをブロックするからだの機能が高まります。また、リズミカルに歩くことでセロトニンという神経伝達物質の分泌を促し、うつの回復・予防効果もあります。


より効果を高めるためのポイント

ウォーキング時の理想的な姿勢

  1. 「運動」であることを意識して歩く
    ただ漫然と歩くより、やや急ぎ足で、少し息がはずんで汗ばむぐらいの速さで歩くのが理想的です。
    あごをひいて胸を張り、腕を大きく振りながら歩きましょう。また、歩くときの姿勢を意識することも大切です。良くない姿勢で歩いていると、かえって痛みを悪化させてしまうこともあります。

  2. 継続して続ける
    歩く時間は一日20〜30分程度、1週間に3日以上行うことを目標にしましょう

  3. ウォーキングに適した靴をはく
    ウォーキングシューズやスニーカーなど運動用の靴を準備しましょう。靴底が厚く柔らかいものはクッション性が高く、腰やひざへの衝撃を和らげます。また、きつすぎず緩すぎず自分の足のサイズに合ったものを使いましょう
    (参考:衝撃を和らげる「インソール(中敷き)」

  4. 動きやすい服装で
    重い服や体をしめつける窮屈な服は避け、軽くゆったりとした服で歩きましょう。汗をよく吸収し、乾きの早い素材を使ったものがお勧めです。高齢者は杖や手押し車を活用するのも良いでしょう。
注意事項

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全身運動② 「ジョギング・ランニング」

ウォーキングでは物足りないという人は、ジョギングすることで、より運動効果を高めることができます。

運動効果が高い反面、体にかかる負担や運動後の疲労も大きくなります。
普段から運動する習慣のある人や、長期間ウォーキングを続けて体が丈夫になり、体力もつき、腰痛もだいぶ良くなってきた人のみ行ってください。
背中痛の治療ではなく、予防目的で行うものと考えましょう。

注意事項

全身運動③ 「サイクリング・自転車漕ぎ」

ウォーキングと同様に背中や腰への負担が比較的軽く、手軽に行える運動です。

自転車を利用することで行動範囲が広がり、長時間でも楽しみながら運動できるほか、室内で自転車こぎができる「エアロバイク」などのマシンを利用すると、天候が悪くても運動できるといったメリットがあります。

体力や心肺機能の向上といった全身運動効果も十分であり、同時に太ももやふくらはぎの筋肉を鍛えることもでき、下半身の筋力トレーニングとしても有効です。
前傾姿勢で運動ができるため、脊柱管狭窄症などの「背中を後ろに反らせると痛みが起こる」方にもオススメです。

注意事項

全身運動④ 「水泳・水中ウォーキング」

水泳などの水中での運動は、浮力によってひざや足腰への負担が軽くなるため、運動が苦手な人や肥満の人、関節などに不安がある人でも比較的安心して運動ができます。運動量も相当なもので、水泳ならジョギングと同等以上の運動効果が得られます。

水中運動のなかでも、腰やひざに痛みを抱える人にお勧めなのが、水中を歩く「水中ウォーキング」です。特別な技術も必要なく、誰でも手軽に行えます。

水中運動のメリット

運動のポイント・注意点


関連項目

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