腎梗塞とは(症状・原因・治療)
背中の痛みを引き起こす可能性のある病気の一つに「腎梗塞(じんこうそく)」があります。
ここでは背中の痛みとの関係を交えながら解説します。
1.腎梗塞が疑われる症状
背中の痛みのほかに、以下のような特徴や症状が見られる場合、腎梗塞が発症している可能性があります。
- 腰から背中にかけての痛み
- 血尿が出たり、尿の量が減る
病状が軽いうちは目立った症状が現れないことが多く、やや進行すると「腰から背中にかけての痛み」が現れてきます。
重症時や、突然起こる"急性"の腎梗塞では、激しい腹痛、血尿、尿量の減少、吐き気・嘔吐、寒け、発熱、高血圧などの症状が見られます。
2.腎梗塞とは 〜 原因と特徴
さまざまな原因により、腎臓とつながる動脈(腎動脈)がふさがって血液が流れなくなってしまい、腎臓の一部または全部が壊死してしまう病気が腎梗塞です。
細胞や組織が死ぬこと。壊死範囲が広がるほど、その器官や臓器の機能が低下し、場合によっては完全に使い物にならなくなる。
動脈がふさがる原因は、心臓の病気や不整脈によってできた血栓(血の塊)が、血管内を流れて腎動脈につまってしまうものがほとんどです。
ほかにも動脈硬化などによって血管自体が狭くなったり、ケガで血管が塞がるようなケースもあります。
同じ原理で起こる病気が心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)です。
心筋梗塞は心臓に血が届かなくなり、脳梗塞は脳動脈がふさがって脳が壊死します。
<症状が似ている腎臓の病気>
3.診断・治療・予防
◆診断
自覚症状から腎臓の異常が疑われる場合は、血液検査や尿検査を行います。
腎梗塞の場合、血液検査では、白血球の増加、AST、GOT、LDH値の上昇が起こります。尿検査では血尿やたんぱく尿が出ます。
更に決定的な診断を下すために、MRI検査、CTスキャン、血管造影などの画像検査を行い、血栓ができて血流が滞っていることを確認します。
また、腎梗塞の原因となる病気(心臓の病気、不整脈、動脈硬化など)があるかどうかも重要です。これらの患者に腎梗塞が疑われる症状が出た場合は要注意です。
【関連項目】
◆治療
血管のふさがっている範囲が狭い、または閉塞が腎動脈などの重要な血管に起こっていない場合は、症状が急速に悪化したり腎臓の障害がおこる可能性が低いため、薬物療法が中心になります。
血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)や、血液が固まりにくくする薬(抗凝固薬)を注入します。ほかにも血管を広げる「血管形成術」、カテーテルを使った「血栓吸引療法」などが行われることもあります。
血管の閉塞が腎動脈の根本などの重要な血管で起きていたり、閉塞の度合いが強い、急性の症状が現れているといった場合は、手術を行って血栓を取り除きます。
腎臓の壊死が進行して腎不全となっている場合は、人工透析の治療が必要になります。
何らかの原因で腎臓の機能が極端に低下した状態のこと。正常時の30%を下回った状態と定義される。腎臓のろ過機能が低下して老廃物の排泄が十分にできず、10%未満まで進行すると人工透析などによる治療が必要な「末期腎不全」の状態となる。
※人工透析(じんこうとうせき)
病気や障害によって腎臓機能が十分に働かなくなった場合に、腎臓の「血液をろ過して綺麗にする」という機能を、専用の血液透析器を使った人工的な手段で代替すること。
4.腎梗塞データ
【受診科】
- 腎臓内科・泌尿器科
【腎梗塞の原因となる病気】
- 心臓の病気(心臓弁膜症、心内膜炎、不整脈(心房細動))、動脈硬化症、大動脈瘤、膠原病、全身性エリテマトーデスなど
【腎梗塞が原因で起こる病気(合併症)】
- 腎不全など