頚椎椎間板ヘルニアで痛むケース

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頚椎椎間板ヘルニアとは(症状・原因・治療)

背中の痛みを引き起こす可能性のある病気の一つに「頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)」があります。
ここでは背中の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.頚椎椎間板ヘルニアが疑われる症状

背中の痛みのほかに、以下のような特徴や症状が見られる場合、頚椎椎間板ヘルニアが発症している可能性があります。

頭を後ろに反らすと痛い



  • 首や肩、背中、胸、腕などにしびれや痛み・重圧感を感じる
    →特に首を後ろに反らしたときに強く感じ、元に戻すと痛みが軽くなる。咳やくしゃみをした時にも強く痛む。
  • 手足のしびれ、痛み、脱力感がある

中枢神経である脊髄への障害がひどくなると、下記のような更に重篤な症状が現れることもあります。

  • 下半身にもしびれや痛みを感じる
  • 歩行困難、排尿障害など、日常生活にも支障が出る

2.頚椎椎間板ヘルニアとは 〜 原因と特徴

頚椎椎間板ヘルニアとは、背骨の一部である頚椎(首の骨)で起こる椎間板ヘルニアのことです。

椎間板ヘルニアとは
背骨は小さな硬い骨と、椎間板という水分に富んだ柔らかい組織が積み重なってできています。クッションの役割を果たす椎間板が、加齢や負荷の蓄積などによって劣化し、大きな負荷がかかった時に押しつぶされ、中身が外に飛び出して近くの神経を圧迫し、痛みやシビレなどの症状を引き起こすのが椎間板ヘルニアです。
◆原因

椎間板は本来、成分の80%が水分の柔軟な組織で、クッションのように骨への衝撃を吸収・分散しています。
しかし、年齢を重ねて水分が少なくなったり、骨に繰り返し大きな負担がかかったりすることで硬く薄くなっていきます。
その結果、亀裂などの変形が生じやすくなり、頚椎に大きな力が加わった時、椎間板の亀裂から中身の「髄核」が押し出され、外に飛び出してしまい神経を強く圧迫すると、痛みやしびれを生じます。

脊椎と椎間板
背骨・椎骨・椎間板
ヘルニアの神経圧迫
図解:ヘルニアによる神経刺激

◆頚椎椎間板ヘルニアを発症しやすい人

  • 「姿勢が悪い」、「長時間同じ姿勢をとる」、「肩こりがひどい」
    特に長時間デスクワークを行う人などに当てはまる要因です。顔はまっすぐ前を向いた状態が一番首や肩にかかる負担が小さいのですが、逆に顔を上げて見上げる姿勢や、首を下傾けた姿勢は首〜肩まわりの筋肉に負担がかかります。こうした姿勢を長時間続けると筋肉が疲弊して肩こりや肩の痛みを生じ、首を支える力が弱まり、頚椎にかかる負荷が大きくなります

  • 肉体労働者
    重い荷物を肩にかつぐような重労働に従事する人は、首〜肩に大きな負荷がかかります

  • 40〜50歳代の中・高齢者
    加齢によって脊椎を構成する組織が弱くなりヘルニアを発症しやすくなります。60代以降の高齢者では逆に椎間板がカチカチに固まってしまって髄核が外に飛び出さないため発症が少なくなります

  • タバコをよく吸う
    ニコチンの血管収縮作用で血流が悪くなり、椎間板に十分な栄養が届かず変性が進みます

  • 親兄弟に腰痛持ちの人がいる
    遺伝的要因があるという医学的な考え方もあります
危険な「首鳴らし」

デスクワークなどで長時間首を動かさないでいると、筋肉の緊張によって首や肩がこったり、首の動きが悪くなったりします。こうした時、首を大きく動かして「ボキボキ、バキバキ」と大きな音をたててみたり、人がしているのを見たことがあると思います。

音を鳴らした後は首の動きが良くなってスッキリしますが、実は大きな音がするほど、頚椎にも大きな衝撃が加わっています。これを続けていると頚椎にどんどん負荷が蓄積され、頚椎の老化を早めます。場合によっては一度に大きな負荷がかかることで、その瞬間から首に痛みが走るようになったり、一定以上動かせなくなったり、最悪、中枢神経である脊髄が損傷してマヒなどの重篤な障害が発生する危険性もあるため、絶対にやめましょう。

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3.診断・治療・予防

◆診断

問診でどの部分に痛みやしびれの症状があるか確認し、X線撮影(レントゲン)で頚椎の変形をとらえます。
更に神経への障害があるか確認するために、筋肉の反射の低下、手足の知覚異常も確認します。病状によっては、椎間板の変性具合を視認するため、超音波検査、CTスキャン、MRIなどの画像検査も併用します。

【関連項目】

◆治療・予防
大半は安静にすることで自然に治る

ヘルニアがあっても、症状が重くなければただちに手術を行うことはなく、まずは保存的療法(手術以外の治療法)を行い、痛みを抑えながら様子をみるのが一般的です。
というのも、首に負担をかける姿勢や行為をひかえていればヘルニアの90%は自然に治ってしまうからです。

発症から3か月で約80%の人に痛みの軽減など症状の改善が見られるという調査結果があり、長い人でも一年もすればだいぶ良くなります。

ヘルニアが自然に良くなるまでは、安静を保ちつつ様々な治療法で痛みなどの不快な症状を抑えます。患部が痛む姿勢を避けるよう徹底しつつ、痛み止めや炎症を抑える薬を服用する「薬物療法」、患部を温める「温熱療法」、体操やストレッチなどの「運動療法」を中心に行います。

痛みがひどい急性期や、症状が長引いたり悪化した場合は、神経に麻酔薬を注射する「硬膜外・神経根ブロック」、首を物理的にひっぱる「牽引療法」なども行われます。症状によっては入院して治療を行います。

痛みは多くの場合2〜3週間で軽くなりますが、3か月以上保存的療法を行っても症状が良くならない、または更に悪化した場合や、運動障害や排尿障害など、日常生活に支障をきたす深刻な障害がある場合は、ヘルニアを取り除く手術が施されます。

関連項目

【背中の痛みが見られる頚椎(首の骨)の障害】

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