変形性脊椎症で痛むケース

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背中の痛みの対策と予防 解剖図イラスト:背中の骨・筋肉背中の痛みの体験談

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変形性脊椎症とは(症状・原因・治療)

背中の痛みを引き起こす可能性のある病気の一つに「変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)」があります。
ここでは背中の痛みとの関係を交えながら解説します。

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1.変形性脊椎症が疑われる症状

背中の痛みのほかに、以下のような特徴や症状が見られる場合、変形性脊椎症が発症している可能性があります。

更年期障害と背中の痛み


  • 更年期障害がある(女性)
  • 腰痛がある
    →起床時、疲れた時、動作の始まりなどに特に痛み、かがみ作業を続けると腰が伸びなくなるのが特徴。入浴すると症状がとても和らぐ
  • 寝起き直後に腰のこわばり感がある
  • 長時間歩いたあと、腰からお尻にかけての痛みや足のしびれがある
  • 腰を後ろに反らせると痛みが強まる

女性の場合、更年期障害の一部として起こる場合が多いです。
骨粗鬆症や他の更年期障害、特に循環障害を伴って起きるケースが良く見られます。

症状が進むと背中の痛みや肩こり、腰痛などが表れます。

◆重症時

症状が更に進んで、神経の束である「馬尾神経」が圧迫されると、足にしびれや冷えを感じたり(坐骨神経痛)、少し歩いただけで足が痛むため休みながらでないと歩けなくなったりします(間欠跛行)。こうした症状がみられる場合、脊柱管狭窄症を合併している可能性が高いです。


2.変形性脊椎症とは 〜 原因と特徴

脊椎・脊柱について
背骨は硬い骨(椎骨)と水分を含んだ柔らかい組織(椎間板)が交互に重なってできています。背骨全体を「脊柱(せきちゅう)」と呼び、一つ一つの骨を指す場合に「脊椎(せきつい)」と呼ばれます。

背骨は、「椎骨」という骨と、「椎間板」というクッションの役割を果たす軟骨組織が積み重なってできています。
これらの組織は、歳をとって弱くなったり、長年体重などによる負荷がかかり続けることで、潰れたり左右に飛び出したりと徐々に痛んで変形してゆきます。最終的には椎骨がトゲのような形状になり、周囲の神経などの組織を刺激すると、神経性の痛み(坐骨神経痛)やしびれなどを起こします。これが変形性脊椎症です。

※変形性脊椎症が頚椎(首の骨)で生じたものは変形性頸椎症と呼びます。

脊椎の構造(クリック拡大
背骨・椎骨・椎間板
脊椎が老化する過程
画像:椎体と椎間板の変性過程

脊椎の変形自体は、病気ではなく、加齢に伴って誰にでも起こる自然な現象です。また、椎間板だけでなく、椎骨がズレないように支えている靭帯が硬くなったり弱くなったりして、椎骨のズレが生じやすくなります。

こうした老化現象が複合的に影響して、脊椎の変形が起こり、痛みを発生させる元となります。

◆変形性脊椎症になりやすい人

  • 40歳以上の高齢者
    加齢が主な原因の病気であるため、高齢者の特に男性に多くみられます。
    椎間板ヘルニアが比較的若い世代に多くみられるのに対し、変形性脊椎症は高齢者の腰痛の主な原因となっています
  • 長年腰に負担をかけ続けてきた人
    重労働者、肥満ぎみの人、腰を使う激しいスポーツを続けた人、若いころから腰痛持ちの人、腰のケガや病気を繰り返している人などは腰骨や椎間板が疲弊し変形しやすいです
  • 更年期障害のある中高年の女性<
    女性の場合は更年期障害の一部として起こるケースが多いです
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3.診断・治療・予防

◆診断

X線(レントゲン)検査による患部の状態の確認が主になります。
骨が変形しているか(骨棘が形成されているか)を調べ、痛みやしびれの強い時は神経が刺激されている可能性があるので、MRI検査で神経周辺の状態も調べます。

◆治療

変形性腰椎症は自然な老化現象の一つであるため、完全に治すことはできません。そのため症状を和らげることを目的とした治療を行います。

全身の柔軟体操、腰痛体操、浴槽内での軽い運動などを続けることで、背中〜腰まわりの組織(筋肉など)を強化する「運動療法」を基本とします。重いものを持つのは厳禁です。そのほか、患部を温めて血行をよくする「温熱療法」、鎮痛剤などを服用し痛みを和らげる「薬物療法」、腰にコルセットをつけて保護する「装具療法」、腰を上下にひっぱって関節のすき間を広げる「牽引療法」などが症状に応じて適応されます。

「痛みなどの症状が重い」、「下半身のしびれや歩行障害などの神経障害が見られる」など、日常生活に支障をきたしている場合は手術も検討されます。骨棘を切除して取り除く「骨棘切除術」や、神経の通り道を広げて圧迫を減らす「除圧固定術」などの手術法があります。

◆日常生活における対策

ウォーキングなどの運動が有効

痛みなどの症状があっても、安静にしすぎると筋肉などの組織が弱り、老化や症状の悪化を招いてかえってよくありません。からだに大きな負担をかけない範囲でできる限り普通の生活をし、積極的に身体を動かすことを心がけましょう。
軽い散歩をするだけでも全然違います。できれば日常的に柔軟体操や軽い筋肉トレーニングを行うのが理想的です。
そのほか、患部をカイロや蒸しタオルで温めたり、お風呂にゆっくり入ると症状は楽になります。

4.その他

【受診科】

  • 整形外科

【変形性脊椎症の原因となる病気・障害】

  • 更年期障害、骨粗しょう症

【変形性脊椎症が原因で起こる病気(合併症)】

  • 脊柱管狭窄症
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