大動脈炎症候群とは(症状・原因・治療)
背中の痛みを引き起こす可能性のある病気の一つに「大動脈炎症候群(だいどうみゃくえんしょうこうぐん)」があります。
ここでは背中の痛みとの関係を交えながら解説します。
1.大動脈炎症候群が疑われる症状
背中の痛みのほかに、以下のような特徴や症状が見られる場合、大動脈炎症候群が発症している可能性があります。
- 両手首の脈拍をとってみて、どちらか片方、または両手首の脈が取れない。
この"脈の消失"が大動脈炎症候群の最も大きな特徴です。
その他の特徴としては、
- 数分間という短い時間失神する
- 頭を後ろにそらすと頭痛やめまいを感じる
- 視野が狭くなったり、光を異常にまぶしく感じたり、といった目の異常、視力障害
などがあります。
2.大動脈炎症候群とは 〜 原因と特徴
大動脈炎症候群とは、大動脈に炎症が起こり、血管が硬くなることで血液が流れにくくなったり、または血管が詰まってしまう病気です。
大動脈に炎症が起こる原因については現在詳しいことが分かっていません。
胸部や腹部の大動脈、弓部大動脈(心臓と胸部大動脈を結ぶ大動脈)、冠状動脈、腎動脈などで起こります。
脈がなくなる症状などから「脈なし病」あるいは「高安病」と呼ばれることもあります。
発症者の9割は女性で、特に15〜35歳くらいの若い女性に多い傾向があります。
3.診断・治療・予防
血液検査、眼科的検査、CT検査、MRI検査、血管エコー検査などを行います。
確実な診断を下すためには、入院して、X線撮影による「大動脈造影」という検査を行う必要があります。
【関連項目】
治療法は、症状が軽度なら「副腎皮質ホルモン剤」という薬の内服で済みます。重度になると手術が必要になるケースもあります。
大動脈に炎症が起きる原因は詳しいことが分かっていないため、有効な予防法はありません。
大抵の場合、症状は軽く、日常生活に支障をきたすほどではありません。とはいえ症状が重くなると、心不全などの心臓の障害を引き起こしたり、脳梗塞や視力障害による失明に至るケースも稀にではありますが見られます。
背中の痛みと同時に、脈がとれない、突然の失神や視覚障害を感じるといった異常があった場合は、一度病院の内科・循環器科を受診し、詳しい症状を説明してください。
4.その他
【受診科】
- 循環器内科、心臓血管外科
【背中の痛みのある心臓・血管の病気・障害】
【大動脈炎症候群が原因で起こる病気(合併症)】